不順な恋の始め方

営業部の譲と、事務の佐藤さん。以前の私と譲の様に、接点なんて何もあるはずのない2人がどうして一緒にいたのか。

……なんていうのはただの思い込み、で。私が知らないだけで2人には何か接点があるのかもしれないけれど。


こんなの分かりきっていたことだけれど、やはり私は譲のことを知らなさすぎる。

譲がどんな人と一緒にいるのか、どんな人とどんな風に話すのか、それから、どんな事を考えているのか。私は全然知らない。



「……で、でも! ひょっとしたら仕事の話かもしれないですもんね!」

「菅ちゃん……」



黙って沢山の事を考えていた私を気遣ってか、菅ちゃんが見え見えだけど必死のフォローをいれてくれた。

でも、菅ちゃんも思っているだろうが大橋の見せてくれたあの写真は、とてもじゃないけれど仕事の話をしているようには見えなかった。



「……菅ちゃんは、どう思う……?」

「え?」


「やっぱり、坂口先輩も……佐藤さんとって……そう、思う?」

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