不順な恋の始め方
譲は、そんなことはしない。佐藤さんとは関係なんて持っていない。
……そう思いたいのに、嫌な事ばかり想像してしまう。
譲を信じたい。そう、思っている。
……それなのに、信じられない。
そんな事を繰り返し考えながら無限ループへと陥っていた私は、目を覚ますと見慣れない場所にいた。
「……あ。やっと起きた?」
「へ……り、涼ちゃん……?」
目を覚ますと、そこはたったの数回しかあがったことのない涼ちゃんの家で。
しかも、私が横になっていたのはリビングのソファーの上。3人は掛けられる長いソファーの上をひとりで陣取って寝ていたというのだ。
「な……なんで?」
「何でって、あんたがあがりこんで来たんでしょうよ。あがってきたと思ったら弱いくせにお酒に手出そうとしたり弱音ばっかり吐いちゃってさぁ」
「えっ」
「何?覚えてないの? あんた坂口先輩のこともベラベラ話してたから私聞いちゃったからね」
「譲のこと、って……」