不順な恋の始め方
「私と譲が、こうして付き合うキッカケになったのがあの日のコトだから……だから……信じたいのに、ちゃんと、100パーセントは……信じられない」
あの日、お互いに酔っていたとはいえ、道を踏み外してしまった私達2人。
酔っていながらも合意したのだから、譲だけが悪いとかそういうことではないけれど、ただ、譲は誰とでも〝そういうこと〟が出来てしまうのかな? と考えたことはある。
…まぁ、それは、逆も然りだけれど。
「ねぇ、涼ちゃん」
「……なに?」
「もし……もし、ね。
妊娠したのが佐藤さんだったら……譲の隣は……佐藤さん、だったのかな」
言葉となって出てきた不安と、それから、静かに頬を伝った涙。
今まで、信じられない程に感じていたはずの幸せが、ここで一気に薄れゆく。
私には勿体無い程の幸せが、全部、全部、不安と哀しみへと移り変わっていった。