不順な恋の始め方
『またあとで』と譲へ伝えてから、約4時間。
もうお昼休みになってしまったというのに、譲からは何のアクションもない。
姿も見ないし、ひょっとして営業に出掛けているのかも。
なんて、思っていたけれど………
バタンッ───
「ちょ!おい!森下!菅原!」
「うるさーい。なんですかー」
「そんなに慌てて……どうしたの?」
突然オフィスの扉を勢いよく開けて入ってきた大橋が、私と菅ちゃんを呼び大きく手招いた
首を傾げる私と菅ちゃんを他所に大橋はずっと手を招き続け、大橋と私たちは何故か注目されてしまっている状態。
その視線も痛く、なかなか耐え難いものだったので私は菅ちゃんを連れてオフィスの外へと出ると大橋に「なに?どうしたの?」ともう一度問いかけた
しかし、大橋はその問いに答えることはなく「ちょっと来て来て」と私達を連れて歩き出した。