不順な恋の始め方

ただ、そんな俺のお節介な性格のおかげで社内に俺と佐藤さんの関係が噂されるようになるまでに然程時間はかからず。

佐藤さんをはじめ、こうして柚希にも心配と不安と迷惑をかけてしまうことになってしまったのだ。


今日もお昼休みに相談にのり、そのついでと言っては何だが『彼女に心配させたないから、もう相談のれへんわ。ごめんな』と断りをいれてきた。

佐藤さんは『分かった』と納得した後で、会社前まで来ていた男性とはちゃんと関係を切ることが出来たと報告してくれたけど……



「そう……だったんですね」


「うん。せやねん。ごめんな」

「私こそ……ごめんなさい。勝手に勘違いして泣いちゃって」



恥ずかしい、と頬を赤らめながら残りの涙を手の甲にすくった柚希の肩に手を回し、優しく抱き寄せた。

柚希は「えっ、ゆ、譲」とキョロキョロ視線を動かして驚き、しばらくすると俺の胸に顔を埋めた


そんな仕草も、身体も、俺の胸を締め付けるのには十分で。

なんでこの子はこんな可愛ええんやろなぁ、と考える。

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