不順な恋の始め方

「なあ、柚希?」

「……はい」

「さっき、なんちゅうとったっけ?」

「……え?」


「好きになっちゃった私はどうすればいい、とか、どうとか……」


もっぺん言うてえな、と笑う俺に柚希の頬は最上級に赤くなった。

それは、もう、茹でたタコのように。


「……い、言いませんっ」


赤い顔を隠すように俯いて、もう一度顔を埋めた柚希を眺めながら良いことを思いついた俺は再び口を開いた


「この間の、命令を聞くっちゅう罰ゲーム覚えとる?」

「え……覚えてます、けど…まさか…」

「はは、うん。その〝まさか〟。 悪いけど、ここで1個目使うわ」


少し前に、柚希が敬語を使う度に俺の命令をひとつずつ聞かなければならないというゲームをした時のアレ。

3つ命令できるというのに、未だひとつも使っていなかった俺はここでひとつ使ってしまおうと決めた。


柚希は、俺のことをキッと睨みつけるようにして見ると「ズルいですよっ!」と俺の胸元を叩いた

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