不順な恋の始め方

「ズルいことあらへん。約束は約束や。せやろ?」

ははは、と意地悪い事を言って笑う俺の腕の中で柚希はいつものように眉尻を下げる。

この困った顔を見るんも嫌いやない……いや、寧ろ好きやねんけど、でもさっきの台詞をもう一度聞きたいというのも事実。


それから


「もっぺん聞かして。ちゃんと、柚希の気持ち確認したいねん」


さっきのは幻聴なんかやなかったって、確認したい。それから、ちゃんと恋愛出来てるんやって、責任取れるんやって、幸せを噛みしめたい。


そんな俺の願いが通じたのか、それとも仕方なくか。

柚希は俯けていた顔を少しずつ俺の方へと上げて、口を開いた。



「…………す……好き、です。


だから、さっきは譲が佐藤さんの方にいっちゃうと思って……もう…こんなに、好きになっちゃった私はどうしたらいいのかって……思っ、ひゃっ」

「……もう、あかん。無理。可愛すぎやろ自分。」


柚希の言葉を全部聞く前に、俺は耐えきれず柚希を更にキツく抱きしめる

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