不順な恋の始め方
初デートの楽しみ方
* * *
「柚希、行くでー」
「はい! ちょっと待ってください!」
「あと10秒なー? じゅー、きゅー……」
私が服を着替えていた寝室のドアの向こう側から、数を数えて私を急かしてくるのは……言うまでもない。譲、だ。
私は急いでベッドの上にあるバッグを手に取り、最終チェックとして全身鏡の前に立った。
出来ないなりに、ゆるく巻いてみた髪と短すぎない膝丈の小花柄のワンピース。
それから、少し肌寒い腕を隠すために羽織った白いカーディガン。
変じゃないかな……?
可愛いって、思ってくれるかな?
そんな不安と期待を抱えて、私はゆっくりと寝室の扉を開く。
すると
「わ……」
「あ……あの……え、っと……変……じゃない、ですか?」
何か言いかけたのか分からないけれど口をポカーンと開けた譲。
しかし、その口からはその後何も出てこなかったので、私からどうかと聞いてみた。