不順な恋の始め方
もう完全に曇ってきた私の気持ち。
そんな私の気持ちをさらに曇らせたのは、次の譲の一言と、初めて見るような譲の表情。
「なんで今ちづの話になんの。関係ないやろ」
「なによー、怒っちゃって」
「別に怒ってへんけど……とりあえず話戻すわ。柚希とは付き合ってまだ1ヶ月。」
「え!? い、1ヶ月!?」
1ヶ月で結婚決めちゃったの!? と叫ぶように驚いた美羽さん。
そりゃあそんなリアクションにもなるよね……と納得しつつも、私は他のことで頭がいっぱいだった。
美羽さんの言ったとおり、ちょっと怒っているかのように見えた譲の表情。
そして、いつもより若干キツくなっていた口調。
譲、その彼女さんと何かあったのかな……それとも、まだ……
「譲はともかく……それで、いいの? 柚希ちゃんは」
「えっ」
「結婚、そんなに早く決めちゃって」
「……はい。ちゃんと譲さんが良いと思って、自分で決めたので」
「あらー……」
やったわねぇ、あんた。と茶化すかのように美羽さんが足の指で譲の膝あたりを突く。