不順な恋の始め方

もう完全に曇ってきた私の気持ち。

そんな私の気持ちをさらに曇らせたのは、次の譲の一言と、初めて見るような譲の表情。


「なんで今ちづの話になんの。関係ないやろ」

「なによー、怒っちゃって」

「別に怒ってへんけど……とりあえず話戻すわ。柚希とは付き合ってまだ1ヶ月。」

「え!? い、1ヶ月!?」


1ヶ月で結婚決めちゃったの!? と叫ぶように驚いた美羽さん。

そりゃあそんなリアクションにもなるよね……と納得しつつも、私は他のことで頭がいっぱいだった。


美羽さんの言ったとおり、ちょっと怒っているかのように見えた譲の表情。

そして、いつもより若干キツくなっていた口調。


譲、その彼女さんと何かあったのかな……それとも、まだ……


「譲はともかく……それで、いいの? 柚希ちゃんは」

「えっ」

「結婚、そんなに早く決めちゃって」

「……はい。ちゃんと譲さんが良いと思って、自分で決めたので」

「あらー……」


やったわねぇ、あんた。と茶化すかのように美羽さんが足の指で譲の膝あたりを突く。

< 151 / 195 >

この作品をシェア

pagetop