不順な恋の始め方

「はあっ!? お、お前…マジ?」

「え? ほんまやけど……そんなん嘘吐いたってしゃあないやん」

「そうだけど……ちょ、森下ちゃん落としたって……どんな手使ったわけ」


教えろよ、とグイグイおれに迫ってくる間宮は言わずとも興味津々だ。

このとおり、柚希は営業部の男子には人気がある。それは俺を含めて。

それなのに何故あんなに自信が無いというか…自覚がないのかは、俺にも不思議なところだけれど。


「……まぁ、そういうのは後々」

「後々って何だよ、おいっ!」


「教えろ」「教えろ」と段々しつこくなる間宮の質問攻め。

お酒も入っているし、こうなってくると正直間宮は面倒くさい。


「今度ゆっくり教えたろ、な? それまでこの話は無しや、無し。」

「そうか〜…… ほんと教えてくれんだろうなぁ?」

「ん、教える教える」


俺は間宮を適当に丸め込み、チラリと柚希の方へと視線を向ける。

< 154 / 195 >

この作品をシェア

pagetop