不順な恋の始め方
「はあっ!? お、お前…マジ?」
「え? ほんまやけど……そんなん嘘吐いたってしゃあないやん」
「そうだけど……ちょ、森下ちゃん落としたって……どんな手使ったわけ」
教えろよ、とグイグイおれに迫ってくる間宮は言わずとも興味津々だ。
このとおり、柚希は営業部の男子には人気がある。それは俺を含めて。
それなのに何故あんなに自信が無いというか…自覚がないのかは、俺にも不思議なところだけれど。
「……まぁ、そういうのは後々」
「後々って何だよ、おいっ!」
「教えろ」「教えろ」と段々しつこくなる間宮の質問攻め。
お酒も入っているし、こうなってくると正直間宮は面倒くさい。
「今度ゆっくり教えたろ、な? それまでこの話は無しや、無し。」
「そうか〜…… ほんと教えてくれんだろうなぁ?」
「ん、教える教える」
俺は間宮を適当に丸め込み、チラリと柚希の方へと視線を向ける。