不順な恋の始め方
覚悟の決め方
「ねえねえ、森下さん、本当に坂口先輩と付き合ってるの?」
「いつから?」
「坂口先輩ってプライベートもあんな風に優しいの?」
「え、えっと……」
あの飲み会から数日。私はこんな感じで出社する度に女の子から質問攻めにあっている。
いつかはバレてしまうことだったし多少の覚悟はしていたけれど、相手が譲だということだけでこんなにも騒がれてしまうのだから、譲の人気は凄い。
「森下先輩!課長が先輩のこと呼んでましたよー!こっちこっち!」
「あっ、菅ちゃ……すみません!課長が呼んでるみたいなので……では!」
「あ!ちょっ……!!」
「森下さん待って!」
女の子達の言葉を背に、私は数メートル先にいる菅ちゃんの方へと駆け寄る。
これも、ここ最近の日課のようなもので。
女の子達から質問攻めに合っている私を、菅ちゃんが何らかの理由で呼び出し、私はそそくさとその場から離れる。
菅ちゃんには申し訳ないけれど……これにはかなり助かっている。