不順な恋の始め方
「はぁ、はぁ………助かった。ごめんね、菅ちゃん」
「いえいえ、どうってことないですよ! でも、大丈夫ですか? ここ最近ずっとこうですけど……」
「あ、うん……そうなんだよね。やっぱり坂口先輩は凄いよね……」
もともと、沢山の人に信頼されていて人気の高い人だということは分かっていた。
だって、私もその中の1人だったわけだし、重々承知していたつもりだった。
けど、そんな譲に彼女がいるとなると女子は黙ってなんかいない。
ああいう風に質問攻めにあうくらいならまだマシな方。中には私のことをよく思わない女の子だっていて、今朝もある1人の女の子から「坂口先輩と別れてください」とあまりにもストレートなお願いをされた。
勿論、譲とは別れられないと断りをいれたけれど………
「やっぱり……私なんかじゃ不釣り合いだよね」
純粋に譲を好きでいただろうあの女の子が知れば、きっと譲に同情するだろう。
私が今、譲の隣に居られるのは、あの日にカラダの関係を持ってしまったから。
それから、このお腹の中に、新しい命があるからということ────。