不順な恋の始め方
あの『坂口先輩と別れてください』とストレートなお願いをしてきた女の子で間違いない。
私はゴクリと息を飲んだ。
「……何でしょうか」
「今朝言ったこと、受け入れてもらえなかったので。もう一度お願いしに来ました」
女の子は、真っ直ぐ私を見つめている。
あまりにも真っ直ぐで、素直な瞳は、きっとこの子がどれだけ譲を好きかを物語っている。
でも
「……無理、です。」
それでも私には、譲が必要で。釣り合わないと分かっていても一緒にいたいと思うから。
「それは、どうして?」
「え?」
何故、この子はそんなことを聞くのだろう。
聞いて、私が理由を答えたからといって諦めてくれるのだろうか?
きっと、そんなことは無いだろうけれど私の答えなんて決まっている。
はず、なのに──────
「子供がデキたから、ですか?」