不順な恋の始め方
マンションのエレベーターを上がり、部屋へと入った私と譲はリビングのソファーへと腰掛ける。
しばらく、重い沈黙のような空気が流れているけれど、それを破るのはきっと私。
私の心が揺らいで、揺らいで、間違った方に傾いてしまわぬよう、早く伝えなければならないから。
「……ゆ、ずる」
「ん?」
怒っていたはずの譲がこちらへ向ける、優しい視線。
それにも、私の心はまた揺らぎかける。
でも
「……別れ、たいの」
私は、決めたんだ。