不順な恋の始め方
「せやなあ……こういうなん、理屈やない思うんやけど。強いて言うなら、恋愛には時間なんて全然関係なくて。結局、大事なのは直感やっていうこと。」
「直感…?」
「そう、直感。
俺なあ…元カノと3年間も付き合うててん。3年間も付き合うてたのに、全然結婚とか考えてなくて。そんな俺は愛想尽かされて逃げられてんけど。
……まぁ、言いたいのは、それだけ付き合うてた元カノともしようと思わんかった結婚を、たったの一瞬で森下さんとなら出来ると思った。いや、したいって思った。なんか、ビビっときてん。これがほんまの直感ってやつか、って思うたわ」
せやから……と、譲は口を再び開く。
「もし仮に、この先ずっと中塚さんが俺に好意を抱いてくれてたとしても、俺はその想いに振り向く事はなかったと思う。やっぱり……きっと、何処かで、何かしらのキッカケで関わった森下さんのことを好きになってると思うねん。」
ドクン──────
私の胸の鼓動が、再び激しく波打った。