不順な恋の始め方
────カタン
とくとくとく、と音を立てながら透明のガラスコップへ注がれていく麦茶。
じっとそれを眺めていた私に「飲みいや」と声を掛け、隣へ腰掛けたのは譲。
「…ありがとうございます」
お礼を言い、麦茶の注がれたコップを持ち上げて口元へと運ぶ。
そして、喉の奥へと流し込んだ私はゆっくりと口を開いた。
「…譲」
「ん?」
「……好き、です」
私はこう言った後、酷く後悔した。
何故か突然言いたくなって、無意識のうちに口を開いた結果、出てきたのはこんな恥ずかしいセリフ。
何やってんだ!と自分をぶん殴りたいところだったけれど、バッと目を見開いた譲のリアクションが面白かったのでとりあえずそれはやめておいた。
「え、ゆ…柚希さん? えっと……いきなりどないしたん」
「……わ、分かんないです。
でも、さっきの譲の言葉とか表情とか……全部、全部、嬉しくて。幸せで。それで、言いたくなったんだと思います」