不順な恋の始め方
赤ちゃんに一緒に語りかけて、見つめあって、それから、微笑んで。
幸せすぎる一瞬を、私は胸に焼き付けるようにして刻んで。
忘れないようにと、噛み締める。
「柚希?どうしたん?」
「え?」
「いや。なんやぼうっとしとったから、どうしたんかな思うて」
「……ちょっと、幸せすぎて。」
幸せすぎて、怖いくらい。
そう言った私の言葉を聞き逃さなかった譲は、驚いた表情をしたあとで少し微笑む。
「こんなんで怖い言うててどないすんの。これからもっと幸せなんねんで?俺ら」
3人で、とお腹の中の赤ちゃんへと優しい視線を向けた。
「そうですね」
「せやろ? これから頑張ろな。3人で」
「……はい!」
私は、この人の横で幸せになる。
そして、この人と、このお腹の中の赤ちゃんと、3人で頑張って色々なことを乗り越えていくんだ────。