不順な恋の始め方
「……えっ!? な、な…何が?」
菅ちゃんが耳元で言ったひとことには驚いたけれど、何とか最後はポーカーフェイスで締めくくることが出来た…ハズ。
「えー? だって森下先輩、倒れちゃったから坂口先輩に送ってもらったんですよね? 大橋先輩に聞きましたよー?」
チッ、大橋め。と心の中で舌打ちをしたあと、どう返すべきか考える私。
これは、普通に送ってもらったことは認めて。でも、それ以上の事は無かったと言えばいいだろうか。
でも、一応結婚するということになっているから付き合ってると暴露すべき?
「んー……えっ、と……」
目線をキョロキョロと泳がせて考えている私の目の前に立つ菅ちゃん。その菅ちゃんが突然、私のずっと背後に視線を向ける。
「…? 菅ちゃん?」
「あ!いいところに!せんぱーい!こっち来てくださーい!」
「え、菅ちゃん? ……って、え!ちょっと!す、菅ちゃん!?」
私の後ろの方に誰か居るのか、大きく右手で手招きしている菅ちゃんの視線の先が気になり振り向くと、そこには出勤したての坂口先輩の姿。