不順な恋の始め方

なんてタイミングで出勤してくるんですか！坂口先輩は！！

心の中でそうツッコミをいれながら、こちらへ向かってくる坂口先輩に「おはようございます」と硬い表情を無理矢理崩して、笑顔をみせる

坂口先輩の方は、それはもう簡単に自然な笑顔を作り上げて「おはよう、森下さん。菅原さん」と微笑んでくださった。


ああ……かっこいい。

いつもの如く私はそう思って見るのだけれど、この人が私の旦那になるなんて本当に夢ではないのだろうか。

ああ、もしかしたら本当に夢だったりして……なんて。


「坂口先輩、森下先輩を家まで送って行った後何もなかったんですかー？」

坂口先輩に見惚れる私を他所に、ニシシと笑いながら菅ちゃんが言う。

「なっ、ちょっ…菅ちゃん！何言ってんの！」と菅ちゃんの口を塞ごうとするけれど、その前に坂口先輩が口を開く


「え？ ああー…せやなあ、菅原さんが思うてるようなことは無かったなあ。残念ながら」

「そうなんですかー？ざんねーん」


坂口先輩が何と答えるかドキドキしていたけれど、答えは意外にも自然に濁されていた。

しかし、菅ちゃんの考えていること、というのはやはりアレだろうか…と考えると少し火照ってしまう私の顔。