不順な恋の始め方
そのグーの手の中に何が入っているのか分からず、首を傾げる私。
そんな私を坂口先輩は「まあ、ええから。手え出してみ?」と理由を答えることはなく急かす。
「は、はい……これで、いいですか?」
渋々両手を揃え、手のひらを上に向けた状態で差し出すと……
私の手のひらの真上までやって来た坂口先輩のグーの手から、カチャンと金属質な音を立てて私の手のひらへ何かが落ちてきた
「え、これって………」
自分の手のひらへ視線を向けると、そこにあるのはひとつの鍵。
何の鍵だろうかと考えてみると、何となく察しがついた。
でも、まさか……
「おいで、俺ん家。ちゃんと責任持って養いますんで」