不順な恋の始め方



「自分、ちゃんと着替えとか持ってきたかー? 忘れもん無いやろなー?」

「あ、はい!大丈夫です!」

「よし、ほな行きますかー」


乗せられるだけの荷物を坂口先輩の車に乗せ、私は坂口先輩と共に目的地へと向かう。

目的地というのはもちろん、坂口先輩の住んでいるマンションのこと。


……そう。ついに、坂口先輩と同棲を始める日がやって来たのだ。


「ああ、緊張する…」


今日は会社の定休日。

坂口先輩も私も休みということで、今日早速引っ越すことになったのだが……これが想像以上に緊張する。


「そんな緊張せんと、リラックスせなあかんでー? これから毎日一緒やのに」


坂口先輩はそう言って笑うけれど、そんなもの私には無理に決まっている。


だって、坂口先輩が今サラリと言ってみせたように、これからは〝毎日一緒〟に生活するんだ。

こんなの、緊張しない方がおかしい。

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