不順な恋の始め方
なんやろ、なんて言うかこう……もうちょいイジリたくなる感覚に襲われるというか……って、いやいや、俺にそんなSっ気あったっけ?
「ええ、あー……ちょっとだけ? ちょっと出来へんのかなあくらいには思ってる、かな?」
森下さんのリアクションがおもろくて、可愛くて、見てみたくて。俺は森下さんがまたしょんぼりしてしまいそうなことを言うてみる。
俺なりにやんわり言うてみたつもりやけど、それでも女の子にこんな事言うたらあかんよな?
いや、あかんよな? やなくて、あかんねん。うん。分かってんねん。分かってんねん、けど……
「そ、そんなぁ……」
ガックリとあからさまに肩を落とした森下さんに、俺の胸は何故か少し締め付けられる。
苦しい、というよりは、なんて言うかこう……キュン、的な感じで。
しょんぼりしている森下さんに、少しだけトキメキのようなものを感じてしまっている自分に驚きつつ、同時に危ないと危機感を覚えた。
そして、そんな自分に少しだけ鳥肌が立った。