不順な恋の始め方
このテーブルに放置されている黒い物体と、坂口先輩の持っているフレンチトースト。
女である私が作ったのはアノ黒い物体で、男である坂口先輩が作ったのがこのフレンチトーストだなんて一体どこの誰が思うだろうか。
だって、普通……逆でしょ。
「……惨敗です。」
「ははは」
なんや勝負してたん?俺達、とケラケラ笑いだす坂口先輩
そんな坂口先輩の側で、私は女子を辞めたいと生まれて初めて思っていた。
「ほな惨敗の森下さんには罰ゲームせなあかんなあ?」
「へ!? ば、ば…罰ゲーム!?」
何それ聞いてない! と言いたいところだが、惨敗だとか言い出したのは私か。
「これから、俺のことは〝坂口先輩〟やのうて下の名前で呼ぶこと」
「へ……?」
心の準備をする間も無く、坂口先輩の口から飛び出してきた罰ゲームの内容。
それに私は目を点にしていた。