不順な恋の始め方
結局、私の作り上げた真っ黒のフレンチトーストは譲が平らげてしまい、私は譲の作ったふわふわのフレンチトーストを申し訳なさに見舞われながら平らげた。
あんな真っ黒な物体を食べてしまったことで、体調を崩してしまったらどうしようとネガティブな思考が止まらないけれど
「美味しかったなあ」
と言って笑う譲に私は少し、幸せな気持ちになっていた。
「……あの」
「ん?」
「私、料理本当に頑張ります。なので」
「はい、ちょーっと待った。また敬語なってしもうてるでー?」
「あ」
本当だ、と言って笑ってしまう私。
そんな私につられたのか、続けて譲もくすくすと笑いだした。
「いやあ、あかんなあ。急やし出来へんのも仕方ないねんけど……あれやな、ちょっとでも早う改善してもらえるように罰ゲームとか付ける?」
「え? 罰ゲーム……?」
「そうそう、罰ゲーム」
よいしょ、と私の側に座り直し何やら良い事を思いついたような笑みを浮かべた譲に、私は何だか嫌な予感がした。