不順な恋の始め方
残念なことに、その予感は見事的中してしまい私は次の譲のひとことに口を大きく開けてしまう
「敬語1回使うごとに俺の言うこと聞いてもらう、とか?」
「な……」
「なかなか、おもろそうちゃう?」
「い、いや……あの」
『面白いのは譲だけなのでは?』という、口から出かけた言葉を飲み込み、私は再び口を開いた
「それじゃあちょっと私ばっかりなので、譲も何か罰ゲームかけてください」
「え? ええけど、例えば俺の場合何したら罰ゲームにすんの?」
「え、ええっと……意地悪なことしたり、言ったりしたら……とか?」
私の例に、うーんと唸るようにして悩みだした譲は、しばらくしてから「よし、それで行こか」と笑った
「せやけど、俺の意地悪ってのは柚希ん中で例えばどういう事を指してんの?」
「え、ええっと……あの、ちょっとからかったりするやつです。昨日1階でマンション間違えた時のみたいな……」
あの、ちょっとSな感じ。と心の中で付け足しておいた時、譲がパチンと両手を叩いた
「はい!早速敬語使うた!」