不順な恋の始め方
嬉しそうに、まるで子供のように無邪気に笑った譲の一言。それに、私はしまったと心の底から思った。
でも、それと同時にもう始まっていたのかという疑問も湧き上がる。
「まだ始まってないですよね?」
「はい、2回目〜」
「だ、だからっ……!」
「申し訳ないけど、もう既に始まってたねん。俺の中では」
「な、なんですかそれ……! そんなの、卑怯ですよ!!」
「はい、3回目〜」
「なっ!!」
ケケケと楽しそうにお腹を抱え込んで笑い出す譲。
その姿にムッとして若干腹が立ってくるのに、可愛いだとか愛おしくも思ってしまう私はきっとどうかしている。
譲はこういう風に笑ったりするんだと新しい発見ができたこと。それから、王子様的な存在であったはずの譲をとても近くに感じれることがとても嬉しいのだ。
ただ、まあ、馬鹿にされているという事は間違いないので私も黙ってはいられないけれど。