不順な恋の始め方
「出た! 坂口の例えツッコミ!」
「ちゃんと例えられとった?」
「いや、微妙。例えとしては普通過ぎて20点くらいかな。」
「低、ほんまかいな。」
「ほんまや、全然あかんで自分」
俺を真似てか、間宮が実に下手くそな関西弁を披露した。
言葉自体は俺をいつも面白がって真似ているせいか問題ないが、イントネーションがまるで違う。
そんな間宮の関西弁に、次は俺がケラケラと笑い始めた。
「その関西弁はあかんで、自分」
「その例えツッコミはあかんで、自分」
俺の関西弁を聞いた間宮がそのイントネーションを真似て関西弁を発する
そんなやり取りをしながら歩いていた俺たちの目の前から歩いてきた女の子がふと視線に入ってくる。
「……あ、間宮。先行っといて」
「え? ああ、りょーかい。」
俺は間宮を先にオフィスへと向かわせると、その女の子へ向かって一直線に歩いた