不順な恋の始め方
俺が向かってくることに気づくと、パッと目を見開き頬を赤らめる女の子。
そう、その〝女の子〟というのは
「よっ、今朝ぶりやな」
「え、な……ば、バレちゃいますよ」
キョロキョロと、人気の少ない廊下中を見渡している柚希のこと。
柚希は廊下を見渡し終えると、腕の中にある荷物を抱え直し少し上目遣いで俺を見た
「はは、そんな簡単にバレへんって」
「そう、ですか?」
「警戒しすぎると逆に怪しいで」
「あぁ、なるほど……確かに」
俺のひとことに妙に納得した彼女はコクコクと頷き、それから何かを思い出したように「あ」と声を出した
「どないしたん?」
「あ、えっと……大橋、くん…に……今度の日曜に飲み会があるって聞いたんですけど、ゆず……坂口先輩も行きます…よね?」
「え? あ、ああ……」
そういえば間宮が「今度の日曜の飲み会来いよー」とか言ってたっけ。
こんなこと言うたらアレやけど、日曜は柚希と2人で過ごせたらなあ、とか思うてたんやけど……