彼女の願いを【短編】
俺は、ある事情から此処から出ることが出来なかったから、働きには彼女が出る。残業で疲れた彼女を見るとすまない気持ちにはなったが彼女はそれでいいと言う。
「貴方が癒してくれる、だから大丈夫」と。
「このままの関係が好きなの」と。
俺はそんな彼女に惜しみなく愛情を注ぎ続けた。彼女がそれを望む限り、俺の全てで愛を注いだ。
時に愛らしい子供のように甘え、かと思えば聖母のように清らかに惜しみない愛を与え、または燃え上がる情熱の恋人たちのように肌を重ね眠りに着き、絆深き永年の伴侶のように穏やかに時を過ごした。
だから、彼女が独り言のように口にした小さな願いを俺は何としても叶えてやりたかった。強く強く神に願い、そして其れは俺にしか出来ないことなのだと悟った時、神様は俺と彼女の願いを受け入れてくださったのだ。