罪づけ
これと言ったセキュリティのない安いマンション。夜中なのに、足音に気遣うことなく足を進めていく。
促されるままに鍵を開けて、ふたり部屋に流れこんだ。
ガタン、と閉じる音がする前に唇に熱が触れた。
手が温かい彼は、唇も同様に熱いらしい。
初めて知ったその事実に頭をよぎらせる余裕があっという間になくなっていく。
「ん、ぅ……」
靴を脱ぎ散らかし、揃えることなく中へと。
汚いとは言わなくとも、とても綺麗とも言い難いリビングを過ぎて、気づけば私は自分のベッドの上で前野に押し倒されていた。
手さえも熱く、体重をかけて押さえつけられた手首からその温度が伝わってくる。
流れるように体のラインをなぞってきた。
「ふ、っは、あ」
噛んで、舐めて、吸って。繰り返して絡み合う。
ただそれだけのことが……気持ちいい。
相手から香るお酒にまた酔ってしまったかのように、自分で自分の体がコントロールできなくなる。
性急な行為に流されるように体がびくびくと揺れた。
「……沼田」
「っ、な、なに」
「名前、呼んで」
名前……名前。
キスの合間に告げられた言葉をなんとか理解する。
「まえ、の」
そっちじゃない、と首に歯をたてられた。