罪づけ

それは、濡れた感情。





「いただきます」



手を合わせて、きちんと挨拶。誰も見ていなくとも関係なく口にするのは子どもの頃からの習慣だ。

いつも通りの行為のあと、箸をとった。



今は昼休憩。ひとりで昼を済ませる私はいつも近所の公園で食べている。

雨の日は仕方がなくデスクで食べたりもするけど、基本的に開放的な空間で食べるのは結構楽しかったり。



月に何度かは気まぐれで外食をすることもあるけど、基本的に自分で作ったお弁当派だ。



常にストックしてあるそぼろと卵をかけたご飯。マカロニサラダ。晩ご飯の残りのポテトとパプリカの炒め物。ささみの大葉巻き。

栄養に関しての知識は中・高で習った程度の人並み。適当だけど、とりあえず野菜を多く取っていたらいいんじゃないかと思っている。



料理は嫌いじゃない。

栄養・彩り・味。色々なことに多少気を遣いながら作り上げるのは、楽しい。

以前は花嫁修業の一環だと思ってしていたから、ただそれだけのことも嬉しくて仕方がなかった。



節約にも体のためにもお弁当を作るのはいいこと。強いて問題を言うなら、入社当初はひとりで食べる場所を探すのが大変だったことくらい。



ご飯を口に運んでいると、画面が明るくなるスマホ。



いくつか並んでいた通知の中、新しくきたひとつ。

LINEの送信主は……透吾。



『今週の金曜日、家に行ってもいい?』



次に会う約束に自然と頬が緩んだ。






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