罪づけ
ふぅ、とため息かなにかもわからない吐息を吐き出す。
それが大袈裟じゃないのに重たく感じるのは、私がなにかから目をそらすかのごとく誤魔化していたから?
そうじゃなかったらいい。だけどきっと……そういうことなんだろう。
くるりと身を翻して会社をあとにする。
毎日通る歩道。大通りでは車が排気ガスを吐き出しながら通り過ぎて行く。
足元のコツコツという音が耳障りね。
嫌だな、こんな音、まるで私と透吾の関係が変わった日みたいじゃない。
そしてふと気づく。そんな風に考えることこそ、透吾のことを気にしているという事実の証明になることに。
どうでもよかったら頭になんて浮かばない。なにもかも透吾に繋がってしまうのは、私が透吾のことを頭のどこかで意識しているから。
気づきたくなんてなかった、そんなこと。
気恥ずかしいのに、どうしようもないほどの虚無感にかられる。甘酸っぱいような、そんな綺麗な感情だけではいられない私は、知らなくたってよかった。
そのはずだったのに。
定期を取り出して改札を抜ける。肩にかかった鞄の紐部分を、より強く握り締めた。
階段を降りて、エスカレーターから少し離れた人の少ないところで電車がくるのを待つ。
気持ちを切り替えるためにスマホを出す。
そういえば今日は昼休憩に返事を出してから触っていないし、確認しないと。