罪づけ
唯一の通知は私が仕事に戻った直後の時間。
もちろんそれは透吾からの返信で。
『愛のナポリタンが食べたいです』
〝私〟の? それとも〝愛がある〟ということ?
どちらの意味かはわからないけど、予想していなかったおねだりに思わずくすりと笑ってしまう。
だって、とっても可愛い。
大したことない願い。簡単に叶えられること。
だけど、彼が望んだ。頼んだ。
私の料理が食べたいって。
それはなんて嬉しいことなのかしら。
笑ったことで、さっきまでの落ちこんだ気持ちが少しばかり浮上した。
『了解。ワインは透吾が買って来てね』
宅飲みの時は私が料理代、透吾がお酒代を支払うことが多い。どちらか一方だけがお金を払うことが続いたりしないように。
それでも、私は甘いお酒しか飲まないのに、様々なお酒がストックされている私の部屋。それは、彼のためで。
透吾の好きな日本酒、それに合うグラス。クリスマスが近かったらシャンパンだって用意する。
私の中に、透吾が以前より染みこんでいて。
それが……嫌じゃない。
彼の声や姿だけじゃなくて。彼に関することに反応してしまう。
それは無意識のことで、胸の奥が騒がしいようであたたかい。学生の頃みたいにはしゃいだりしなくとも、確かに私はドキドキしていて。
28歳。アラサー。学生の頃の友人は母親になっていたりする、そんな年齢。
もういい大人なのに、こんなのおかしいかしら。
それでも、透吾に対してだけ。純粋に心が震えるの。