罪づけ
罪の意識に覆われながらも、私は指ごとそれに歯を立てた。
「っ、……」
痛そうに透吾が顔を歪めた。眉を寄せた表情を目にしても、それでも、止められない。
だって、……憎い。
透吾が羨ましくて仕方がなかったはずなのに、私は今、この指輪で繋がる存在を妬んでいる。
透吾の隣に立てる人にどうしようもなく嫉妬しているの。
こんなもの。噛んで、引き抜いて、壊してしまいたくなる。
形が残らないくらい、粉々に。
そうすれば私は、今よりずっと罪を感じずに済む。いつかのごとく、嫌なものから目をそらして、誤魔化して。
ただ彼との口づけに酔いしれて、幸せだと笑えるのに。
だけどできやしない。不可能なことだとわかっている。
それでもどうしたらいいかわからず、鈍い胸の痛みを無理やり押しこめた。
鉄の味。冷えた無機質さと、滲む熱。
2種類のそれが混ざり合って、私の舌に絡んだ。
ずぶずぶと沼に沈むように、胸の中に落ちていった。
それは一体……なんだったのかしら。
わからないまま私はそっと目を閉じる。
傷口に音を立てながら口づければ、私の頬を透吾がすくい上げた。