罪づけ




年をとったってことなのかしら……。

そうよね、私ももうアラサーだものね。



全く、誰が言い出したのか、不名誉な肩書きがひとつ世の中に増えてしまっている現状。

言い出した人は多くの女性に呪われているに違いない。



そんな社会に属している中。

同期だけじゃなく、年下の女子たちの間でも結婚した人は少なくない。子どもがいる人だって、結構な数。



高坂さんと結婚した美緒ちゃんを筆頭に、早々に寿退社してアラサーなんて言われる前に立ち去った人もいる。



経理も、私より若い子たちが随分と増えてきた。



そのうちおばさんとかお局とか言われちゃうのかしら。

嫌だわ、それってだいぶ恐ろしい現実。



やれやれ、とため息を吐きながら、時計を見やる。

昼休憩から数時間。でも定時にはまだほど遠い。



区切りはついたとはいえ、今日のノルマは終わっていないから、定時には帰れるか帰れないかは怪しいところなのだけど。

でもせっかくだから、コーヒーブレイクでも入れちゃおうかしら。



そうと決まれば、すばやく上書き保存をしてスリープモードに。

お財布を手に立ち上がる。



オフィスのみんなに一声かけてからエレベーターに向かい、下の階へのボタンを押す。

他の階に止まり誰かが乗ってくることもなく、目当ての階に。



まっすぐ奥へと進むと少し開けたスペース。うちの会社のビルでよく使われる休憩所。






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