罪づけ




私はコーヒー、彼はココアを飲み干してしばらくたった。

いい加減に仕事に戻らないといけない。



一区切りついたとはいえ、今日の仕事は終わったわけじゃない。

それにもうしばらくしたら決算期で忙しくなるから、近日中に片づけなきゃいけないものもたくさんある。



岡村くんと話してだいぶ休憩になったし、この後の仕事はきっといつもより早く進むだろう。



「そろそろ私、戻るわね」

「あ、じゃあおれも」



ふたりして立ち上がり、紙コップをゴミ箱に捨てた。



営業のオフィスは2階にあるからそのまま戻れるけど、今日は上に用があるらしい。

ちょうどよくやってきたエレベーターに乗りこもうとしたら、



「────沼田」



透吾────いいえ、同期の〝前野〟の姿。



「あ、透吾さんだー! お久しぶりですね!」



岡村くんと出会った飲み会には、当時まだ経理にいた透吾は私の隣に座っていて。

当然のごとく私よりずっと親しくなり、ふたりはちょくちょく飲んだりしているみたい。



私じゃ透吾の飲む量には付き合えないし、意外に飲める口の岡村くんと飲みに行くのはいつも楽しそうにしている。



「……ああ、岡村か。社内にいるの珍しいな」

「えー、透吾さんまでそれを言いますか? おれだってたまにはデスクワークしてますよ。嫌いでも」



嫌いなんだ、と笑いながらボタンを押して、扉を開けたままにしてくれている彼に頭を下げる。岡村くんと肩を並べて入った。






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