罪づけ
それは、打消す不幸。
とくとく、とグラスにピーチのチューハイを注ぐ。気泡がいくつも浮かんでは、私のため息で弾けた。
自分の部屋でひとりさみしくお酒の時間。
テーブルの上、というか私の周りには空になったお酒の缶が散らばっている。
行儀悪くもソファの上で膝を抱えてちびちびと口に運ぶ。
あれから────透吾に子どもができたと聞いてから、1ヶ月近い時間が過ぎた。
あの後すぐに決算の仕事が本格的に始まり、精神的にも肉体的にも会うことはできなくなって。
彼からの連絡を全て無視している。
だって、……どんな顔をすればいいかわからない。
この関係の終わりに、私は、どうしたらいいのか。
こんなこと、誰にも相談なんてできない。
そうして、ようやく本当の意味で誰にも相談できないようなことをしていたのだと実感した。
透吾の突然の告白の後。
私たちにまともな判断なんてできるわけもなく、時間を共有することもできず。コンビニの袋を押しつけて部屋から追い出した。
透吾は家へと、お腹に赤ちゃんのいる奥さんの元へと帰ったの。
あの日の透吾の行動の違和感。異常な様子。
手を繋いでいたのも、いつもと違う笑みを浮かべたのも、私にキスをしたのも。
全てに説明がついた。
こんなことなら、理解したくなかったというのに。
でも、それでおしまいにはならない。
途絶えない連絡。
何度も投げかけられる『会って話がしたい』。
それが私をどれだけ喜ばせて、傷つけるのか。
透吾は……わかっていないわ。