罪づけ
いつもと変わらないように、可能な限り同じふたりで。
お酒を飲んで、言葉を交わして。何度も笑う、視線で心に焼きつけるようになぞる。
そうして、いつもなら店を出る頃合いになって。
勘定を済ませた。また訪れる日は来ないかもしれない、そんな店の扉の向こうに抜けた。
これからどうしよう。そんな感情が透けて見える透吾。
「じゃ、」
「私の家、でしょう? 早く行きましょうよ。ね?」
「……」
笑って促して私の部屋へと。
言い淀む彼の言葉を遮って、立場が弱い彼をわかっていながら丸めこんだ。
本当は帰るつもりだったんでしょう。
一緒に飲むことはできても、もうマンションには、私の部屋にだけは来ないつもりだったんでしょう。
そんなこと、わかっていた。
だけどそんなこと、許せるはずもなくて。
困った顔をしながらも、了承してくれる彼に私は甘えている。
何度もひとりで歩いた。
けれどそれよりずっと少ない数なのに印象深い、透吾の隣を歩いたこの道。
「……」
気にならなかった沈黙。歩幅は違うのに、タイミングは同じの足音。電灯に揺らぐ影の長さ。絶対に私を車道側には歩かせない気づかい。
全てが嬉しかった。大切だった。
……たまらなかったの。