罪づけ
次は、透吾よりずっと私を愛してくれる人を。
透吾より、私が幸せにしてあげたい人を。
私はそういう人を見つける。
また間違えることもあるかもしれない。傷つくかもしれない。辛くて、苦しくて、もうこんな恋やめてしまいたいと思うかもしれない。
それでも、私はもう、誰かを愛することを恐れはしない。
愛することは、とても素敵なことだと感じた日々だったから。
そして、透吾のため。なにより私のため。
いつか結婚して、夢を叶えて、誰かのお嫁さんになる。母親になる。
私は、幸せになるの。
出来上がったコーヒーを手に、ひとりソファに腰かけた。湯気が上がり、白くもやがかかる。
ふぅ、と息を吹きかければ、視界がクリアになった。
「透吾」
これが最後と意思を固めて。心からの愛をこめて、彼の名を口にした。
空気が澄んでいく気がして、私は小さく笑った。
罪に濡れた口づけは、もういらない。
fin.