ジキルとハイドな彼
ベッドの脇にはサイドテーブルと背の高いシルバーのライトスタンドが置かれている。

一面は黒い扉のクローゼットになっており、備え着けの棚にはCDと書籍がみっちりつまっていた。

どうやら寝室のようだが、明らかに自宅の小狭いアパートとは様子が違う。

完全に男の部屋じゃない…。

はっとして自分の身だしなみを確認するとだぼだぼのフリースに同じくだぼだぼのスウェットを着用している。

これも明らかに男もの。

慌てて服の中に手を突っ込むと下着は着用されていて思わずホッとする。

ベッドから抜け出し窓から外の様子を伺う。

た…っか…

眺望は抜群で、都心の高層ビル群を望むことが出来る。

下を見ると、地面が驚くほど下にあり、ここが何階なのかもわからない。

どこかのタワーマンションの一室のようだ。

一体、どうなってるの?

コウと小鳥遊が話しが頭を過る。

あれは…夢だったのかな。

思いだそうとすると飲み過ぎたのかこめかみがズキリと痛む。

自分の服が見当たらなかったので、だぼだぼのフリース姿のまま部屋から出る。

とりあえず、現状を確かめるべく、リビングに繋がるドアを恐る恐る開く。
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