さよならだね。
「ごめん、ちょっと待って。気持ち落ち着けるから。」
そう言って、少しあたしから離れ、ふうっとため息をつく愁くん。
そんな愁くんが、どうしようもないくらい愛おしく思えて、気づいたらあたしは、自分から愁くんに抱きついていた。
愁くんの胸に顔をうずめると、愁くんの匂いがして、愁くんの心臓の音が聞こえて、あたしの胸はまたきゅっと締めつけられる。
「ゆら、ちょっと待って。ちょっと離れて。」
愁くんが焦っているのがわかる。
でも、
「やだ。離れない。」
あたしはさらにぎゅっと抱きついて離れなかった。
「、、ゆら。ほんとに俺ギリギリだから、いま。お願いだから離れて。」
あたしは愁くんの背中に手をまわしたまま、愁くんの顔を見上げる。
「そんな顔で見るな。じゃないと俺、、」
「いいよ。」
「えっ?」
愁くんはびっくりしたような、困ったような顔をしていた。
「愁くん、もう我慢しないで?あたし、大丈夫だよ?愁くんとなら、大丈夫。」
「ゆら、、」
「あたしのために我慢してくれたんでしょ?ありがと。大好きだよ、愁くん。」
そう言うと、あたしは初めて自分からキスをした。