さよならだね。



ゆらの家の前につくと、雨が降ってるっていうのにゆらは玄関に立って待っていた。


急いでゆらを車に乗せ、ゆらが行きたいと言ったプラネタリウムを見に、天文館へと出発する。



ゆらのこういうところも好きだ。


女は買い物だの遊園地だの、せっかくの休みなのに人の多い騒がしいとこに行きたがる。


でもゆらは違った。

俺にもゆっくりして楽しんでほしいからと言った。


そんなゆらの優しさに、やっぱりさすがゆらだな、俺の目に狂いはなかったなと、どこか嬉しくなった。





プラネタリウムを見てる間、俺は何度か隣で釘づけになってるゆらの横顔をちらっと見る。


ゆらはプラネタリウムが好きだと言っていた。


本当に嬉しそうに、無邪気に笑いながら映し出される星空を見上げていた。



俺も星空は好きだ。


疲れがたまったときや、考えごとをするとき、よくベランダから星空を眺める。


好きなものがゆらと同じだというだけで、俺たちは運命なのかと、柄にもなくそんなことさえ考えてしまう。




プラネタリウムを見終わって、俺たちはスーパーに食材を買いに行く。


この後は、ゆらが夕飯を作ってくれることになっていた。



< 149 / 444 >

この作品をシェア

pagetop