さよならだね。
俺が米をとぎ終わり、炊飯器にセットしてスイッチを押すと、ゆらは玉ねぎを炒め始めたとこだった。
俺は、そんなゆらを後ろから抱きしめ、ゆらの肩にあごをのせる。
腕をまわしたゆらの腰が、びっくりするくらい細くて、ちゃんと食ってんのかって心配になる。
俺はそのあとも、せっせと料理をするゆらにずっと抱きついたまま離れなかった。
ゆらから離れたくなかった。
俺ってこんなガキみたいだったんだな。
料理が終わって、うまそうな飯がテーブルに並ぶ。
ゆらが座ってから、俺はいただきますと言って料理に箸をつけた。
「うまい!めっちゃうまい!」
ゆらの作ってくれた料理は、本当にどれもうまくて、一口一口幸せを噛みしめながら食った。
全部食い終わって、ゆらと食器を片付ける。
先に食器を洗い終わった俺は、まだ食器を拭いているゆらに、また後ろから抱きつく。
まだゆらと一緒にいたかった。
ゆらにずっと触れていたかった。
ゆらを帰したくなかった。