さよならだね。



「はい!できたわよ!」


「ありがとう!」



今日は夏祭り当日。


お昼過ぎからメイクして、頑張って自分で髪をアレンジして、いまお母さんに浴衣を着付けてもらった。


浴衣がどうなるかと思ったけど、お母さんがきちんとしまっておいてくれたみたいで、無事着ることができた。




鏡で最終チェックをしていると、愁くんから電話がかかってきた。


「もしもし、愁くん?」


「ゆら、家の前着いたよ。」


「うそっ?すぐ出る!」


どうやらのんびりし過ぎたみたい。




あたしは慌てて玄関に向かうけど、浴衣は動きづらくて思うようにいかない。


「ゆら!せっかくの浴衣なんだから上品にしなさい!あんまり急ぐと転ぶからね!」


「わかってるって!じゃあ、行ってきます!」



お母さんに叱られながら家を飛び出すと、愁くんの車が止まっていて、あたしは急いで乗り込む。



「ごめんね!待ったでしょ?」


愁くんを見ると、愁くんの顔が、少しだけ赤くなってるような気がした。



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