さよならだね。



「ゆら?どうかした?」


「え?どうもしてないよ。」


「でも、悲しい顔してる。」


「そんなことないよ!全然!」



あたしは無理に笑顔を作り、愁くんに嘘をついた。


こんなこと、愁くんに話したくない。

重いって思われたくないし、めんどくさい女だって思われたくない。



愁くんの歳なら、それなりに元カノがいるのも当然。

逆にいない方がおかしい。

しかも愁くんだよ?

普通の人より経験があってもおかしくない。


あたしはそう自分に言い聞かせる。


でもやっぱり、醜い嫉妬心はすぐには消えてくれなかった。



あたしはモヤモヤした気持ちをごまかすように、わざと元気なフリをして、愁くんにも自分にも嘘をつく。



「見てみて?夜景も綺麗だけど、今日は星もすごく綺麗だよ!」



< 167 / 444 >

この作品をシェア

pagetop