さよならだね。



あたしは夜空を指差して言う。

そこには、本当に綺麗な星空が広がっていた。



「一緒に見に行ったプラネタリウムみたいだね!今度また見に行きたいね〜!」


空を見上げたまま話す。

だけど、愁くんは星空じゃなくて、じっとあたしを見ている。


気づいていたけど、あたしは愁くんの顔を見れずに、気づかないフリをした。

でも、そんなの愁くんには通じない。




「ゆら。こっち向いて。」


愁くんにそう言われ、あたしは渋々愁くんの方に向き直る。

愁くんはいつもみたいに優しい、でもどこか真剣な顔をしていた。



「嘘つかないで。無理に笑ってんの気づかないとでも思う?」


「ごめんなさい。」


「謝らなくていい。でも、本当のこと話して?」


愁くんが優しい声であたしをさとす。



あたしは愁くんから目をそらし、うつむいてしまう。


「だって本当のこと言ったら、きっと愁くんは、あたしのことめんどくさいって思うもん。」


「なにそれ。そんなこと思わないよ。」


「絶対?」


「うん。絶対。」


その愁くんの言葉を信じて、あたしは素直に話すことにした。



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