さよならだね。
「聞いても、俺のこと嫌いにならないで。」
そう言った愁くんの顔はすごく不安そうで、こんな顔見るのは初めてだった。
「嫌いになれるわけないよ。約束する。」
あたしはそっと、愁くんの手を握った。
あたしの手をぎゅっと握り返して、愁くんは話し始めた。
「俺さ、自分で言うのもあれだけど、中学から高校までは常に女子に告られて、その度にまあいっかって、なんとなく付き合ってた。大学に入ってからは、特定の彼女を作るのが面倒になって、合コンしたりクラブに行ったり、夜遊びって感じでただ遊んでた。かっこつけた言い方すれば、来る者拒まず去る者追わず、って感じだった。」
なんとなく想像はついてたけど、やっぱり本人から直接聞くと、結構ショックだった。
嫌いになんてなれない。
でも、その話を聞けば、愁くんが好きだよって言ってくれても、素直にその言葉を信じれないような、そんな気持ちになる。
「ゆら。もう俺のこと、いままでみたいに信用できないって思った?」
ちょうど考えてたことを当てられ、あたしはびっくりして正直にうなづいてしまう。
「だよな。だから話したくなかったんだ。俺の過去の話。」
愁くんは悲しそうに笑う。