さよならだね。



「もっ、もうすぐご飯できるから!」


あたしは恥ずかしくて、慌ててその場を離れ、キッチンへと急ぐ。


「ゆら〜、全然たりないんだけど〜。」


ソファーでぐずぐず言う愁くん。



あたしは聞こえないフリして、料理の続きにとりかかった。






「うまい!やっぱゆらの料理が一番うまい!」


「ふふっ、ありがと。」


今日も残さず、最後までおいしそうに食べてくれる愁くん。



「愁くん?ニンジン食べれたね?」


「ん?ニンジン?」


ニンジンが嫌いなら愁くん。

でも、やっぱり体のためにニンジンも食べないと、って思ったから、こっそりミネストローネに入れておいたんだ〜。

全然気づかなかった愁くんは、おかわりしてミネストローネを2杯も食べてくれた。




「気づかなかった?ミネストローネに入ってたんだよ、ニンジン。」


「うそ?全然わかんなかった!」


びっくりする愁くんの顔がかわいい。



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