さよならだね。



「かして。」



愁くんはあたしの手から指輪を取り、あたしの左手の小指に、その指輪をゆっくりはめてくれた。



「薬指はまだとっとく。ゆらがちゃんと大学卒業してからな。俺はすぐにでも結婚したいけど。」


そんな愁くんの言葉に、あたしは感動して涙が溢れる。




結婚を考えてくれてるってことも嬉しかったし、だからってすぐそんなことを言うんじゃなく、ちゃんとあたしの人生も考えてくれてて。



愁くんに出逢えてよかった。

愁くんと付き合えてよかった。

愁くんに好きになってもらえてよかった。





「なんで泣くんだよ〜。」


「愁くんのせいだもん!」


「ははっ、俺が悪いの?」


「悪くない、嬉し涙だから。」


あたしの頬に流れる涙を、愁くんがそっとふいてくれる。




「愁くん、大好き!」


あたしは勢いよく愁くんに抱きつく。


「知ってる。俺も。」


愁くんもぎゅーって抱きしめ返してくれる。




あったかい、、。


どれだけ外が雪降るくらい寒くても、愁くんがそばにいてくれたら、愁くんの腕の中にいれたら、春みたいにポカポカ温かいの。


心が満たされるって、こんな感じなんだな〜。



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