さよならだね。
初めての旅行
「愁くん!愁くん!ここも行ってみたい!」
「ん。でもあんま詰め込みすぎたら周りきれないよ。」
京都の旅本を見ながら、あたしはきゃあきゃあ言ってる。
そんなあたしに冷静に突っ込む愁くん。
季節は冬をまじかに控えた秋になっていた。
明日から、あたしと愁くんは初めての旅行に行くことになっていた。
先月、2人でテレビを見ていたとき、
ふと京都観光のCMが流れて、
それに映った紅葉があまりにもきれいだった。
「いいなぁ〜、京都の紅葉見てみたい。」
あたしがそうぼやくと、
「行く?」
「へっ?どこに?」
「京都。」
「えっ!いいの?」
こんな感じで、あたしと愁くんの京都旅行がおっさり決まってしまった。
それからバタバタと旅館や新幹線の予約をして、ついに旅行前日。
あたしが浮かれすぎて買ってしまった旅行雑誌。
愁くんは一緒に予定を考えてくれている。
「ん〜!楽しみすぎる〜!」
あたしは修学旅行前の子どもみたい。
そんなあたしを見て、愁くんは笑いながらコーヒーを飲んでいた。